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コラム

グァテマラよもやま話 その26 レモンキー


2021.09.15コラム


グァテマラにも、ちょっとだけカリブ海に面した地域があります。イサバル県の県都プエルトバリオス周辺です。

プエルトバリオスは商港都市なので、そこの海は、コバルトブルーのカリブ海といったイメージとは程遠いものでした。プエルトバリオスから少し離れて、リビングストンという町まで来ると、それなりに海もきれいになるし、ガリフナというアフリカルーツの住民が多く住んでいるので、だいぶカリブ海っぽい雰囲気にはなります。それでも、湾の最奥に位置しており、湾の入り口の砂州が海流の出入りを邪魔しているため、水質は素晴らしく美しいとは言えませんでした。

 

素晴らしく美しいカリブ海を求めるのであれば、隣国ベリーズまで行かないといけません。ベリーズは、日本ではあまり馴染みのない国ですが、美しいサンゴ礁で有名です。公用語が英語ということもあり、アメリカ人には人気のリゾートでした。グァテマラからだと、たしか当時は首都ベルモパンまでの直行便がなかったので、陸路で行くか、海路で行くか、ということになります。私はサンゴ礁の無人島に直接船で行くツアーを利用しました。山の中に住んでいた当時の私は海に飢えており、海に行ければそれでいい、という気分だったのです。

サラマ→グァテマラシティ→プエルトバリオスと経由して、すごく時間がかかりましたが、ベリーズのレモンキーという無人島に到着しました。キーとは、英語でサンゴ礁の小島を指す言葉で、スペイン語だとcayo(カヨ)です。レモンキーはレモン小島ということです。レモンティーの間違いではありません。

さて、レモンキー、素晴らしい海の青さです!プエルトバリオスあたりのどぶみたいな海とは、まったく比べ物になりません。やっぱりカリブ海はこうでなくちゃ!このときは、ダイビング好きの同行者がいたのですが、二人ともテンション上がりまくりでした。

 

レモンキーは、一周歩いて5分もかからないような、小さくて平らな無人島です。当然ですが水も電気もありません。水も食料も持ち込みで、調理はツアーのコックがしてくれます。寝泊まりするのはテント。トイレは海に突き出た小屋。そのまま海に落下させ、あとはお魚さんたちの餌になる、という具合でした。エコですね。

そんなレモンキーでは、海を眺めてのんびりしたり、ビールなど飲んで昼寝したりして過ごすのが大人なんでしょう。しかし、せっかく遠路はるばるカリブ海まで来ているわけです。私はガンガン海で泳いでいました。一応、トイレ小屋からなるべく離れて。

 

夜は満点の星空の下、ツアー客みんなでBBQを楽しみます。コックの腕前はなかなかのもので、料理は何でも美味しかったです。そして、お酒はビール、ラム、その他ふんだんに用意されています。私はリゾートを楽しんだことがなかったし、旅は冒険するものだ、という考えが強かったのですが、このときは素直に楽しく、のんびり過ごせました。

ツアー客の中には、韓国人の女の子3名がいました。BBQのとき、何か歌ってよ、みたいな空気になったとき、3名でアリランをハモって歌ってくれました。これがものすごく上手で、私は感動しました。私がそれまで聴いたアリランの中では、ダントツに素晴らしかったです。これは日本チームも負けていられない、と焦ったことは覚えているのですが、自分が歌ったシーンを思い出せません。選曲に悩んでいるうちに流れが変わったのか、そもそも日本チームにお呼びがかからなかったのでしょう。

 

楽しい時間はあっという間に過ぎ、3日目にはもう旅は終わりです。グァテマラに帰る船のデッキで、私は、ああ、またいつもの日常が始まるのか、などと感傷にふけっていました。そこでふと目を凝らすと、ん?舳先にイルカがたくさん集まって、船と一緒に泳いでいるではありませんか。中には、海面上にジャンプしてくるイルカもいます。遊んでいるんでしょうね。なんだか楽しそうです。そうやって遊んでいるイルカを眺めているうちに、私はだんだん穏やかな気分になっていきました。

 

続く

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