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海外の旅

海外の旅の話 その27 三線片手に


2023.08.17海外の旅


私は、アフリカ大陸に足を踏み入れたことがなく、フランス本国以外にフランス語圏を旅したこともありませんでした。ボリビアから帰国した私は、慣れ親しんだ雰囲気の中でくつろいだ旅をするのもいいが、言葉も文化もわからない所で右往左往してみたい、と思い、フランス語圏のアフリカのどこかに行こうと考えました。

 

そこで、協力隊のアフリカ派遣の同期に話を聞こうと思い、名簿を見返しました。すると、コートジボワールのOGが比較的近くに住んでいることを知りました。これはちょうどいい。さっそく訪ねて話を聞きました。しかし、彼女曰く、コートジボワールはお勧めだが、最近クーデターが発生したので、今は行くのは控えた方がいい。想定外の事態に困惑していると、対案を出してくれました。ご主人も協力隊OBで、コートジボワールの隣のガーナで教員をやっていた、英語圏だけどガーナもお勧め、とのこと。私としては、同じフランス語圏のセネガルとかでもいいかな、という考えもよぎりましたが、せっかくのお勧めです。これも何かの縁でしょう。ガーナに行くことにしました。ご主人からは、ガーナに行くなら自分の任地の村を訪ねて、村人に写真を届けてほしい、と頼まれました。そういうのがあった方が面白いです。任地への行き方と村人の氏名を教えてもらい、写真を預かりました。

 

イタリアのミラノ乗り継ぎで、ガーナの首都アクラに向かいます。その機内で隣に座ったのは、珍しく同年代の日本人女子。一人でガーナに向かう女子なんて、絶対JICAがらみだろうと思い、話しかけると、大正解。ガーナの北に位置するサハラ砂漠の内陸国ブルキナファソでNPО活動に従事している、協力隊OGの看護師さんでした。協力隊時代の任国も西アフリカのどこか。しかも、私のグァテマラの隊員仲間の知り合いでもありました。すっかり意気投合し、お互いの隊員時代の思い出話で盛り上がります。幸先の良いスタートです。

 

盛り上がっているうちに、飛行機はアクラに到着しました。到着時刻は夜中過ぎ。さすがに初めてのアフリカで夜中過ぎからホテルを探すのはリスキーなので、この時は日本からホテルの予約を入れてありました。一方、看護師さんは、ブルキナファソの入国ビザをアクラのブルキナファソ大使館で申請・取得するので、アクラで何日か過ごす、そのために安宿を取っている、とのこと。せっかくなので、翌朝待ち合わせて一緒に行動することにし、一足先にホテルの送迎の車に乗り込み、ホテルで短い眠りにつきました。

 

朝起きて見渡すと、ホテルは日本から予約できるだけあって、広く新しく、プールまであります。しかし、私には郊外にあるプール付きのホテルなど似つかわしくありません。さっさとチェックアウトしてダウンタウンに出かけます。

 

私はこの旅で、どうしても西アフリカの民族音楽や民族舞踊に触れたい、と思っていました。しかし、地元民に、歌って踊って、とただお願いしても、すんなり聞いてくれるとは思えません。そこで、自分もやるからあなたもやって、とバーターでお願いするべく、沖縄の三線を持って来ていました。さっそく三線を抱えて町をぶらぶらします。すぐに、道端の人から話しかけられます。ヘイ、ホワイトマン、それは何だ? 私は、ジャパニーズ・トラディショナル・ギターだ、と答え、すかさず、15の春などの沖縄民謡を唄います。

 

しかし、思いのほか地元民の反応が良くありません。スローテンポな曲だからでしょうか。私の勝手なイメージでは、アフリカの人は音楽がかかると途端にノリノリで踊り出す、というものでした。だが、現実は違いました。微妙な笑顔を浮かべつつ、ただ見守るだけです。拍手すら起こりません。

 

あまりにも反応が悪いので、一番だけ唄ってさっさと止めて、次はあなたが何か歌ってよ、と振ります。すると、ここでも予想外に、いや自分は歌下手だから、と言って皆さん歌ってくれません。ではこれ弾いてみてよ、と言って三線を渡しても、手に取ってはくれるものの、いや楽器はできないから、と試そうともしません。

 

私の三線コミュニケーション作戦は、到着2日目にして失敗に終わりました。このあと旅の終わりまで、無用の長物と化した三線を持ち歩かないといけないのか、とげんなりしますが、仕方ありません。でも、地元の人とおしゃべりするきっかけにはなりました。みなさん、とても気さくに話しかけてくれました。

 

その後も、三線片手にぶらぶらしながら、町行く人たちを観察します。

男の人は、上半身裸か、タンクトップ姿が多く、筋肉の付き方がよくわかります。その筋肉の美しいこと。スポーツでは敵いそうにありません。

女の人は、身体のラインにぴったりの服を着ている人が多く、こちらも体形がよくわかります。そのボリュームたるや。とくにお尻は、横ではなく縦に大きく、日本人とはあきらかに違います。

 

男女とも、原色を使った派手な服を着ている人が多く、黒い肌にとてもよく映えます。

女性の髪の毛の編み込みは、人によってデザインがかなり異なっていて、非常に凝っています。シャンプーは髪を解かないといけないので滅多にせず、痒くなったら爪楊枝の長いもので掻くそうです。おしゃれも大変ですね。

 

 

続く

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