グァテマラの主食は、トルティーヤ。トルティーヤは、スペインではオムレツを指しますが、中米では、トウモロコシ粉を原料とした薄焼きパンを指します。
トルティーヤのサイズは、メキシコでは、直径15~20センチ程度、厚さ1.5ミリぐらいのものが多いようですが、グァテマラでは、直径10センチ程度で小さい分、厚さは34ミリぐらいのしっかりしたものが多かったです。作り手の女性の好みもあるのでしょうが、田舎に行くほど厚く大きくなるようでした。日本でも、田舎のおはぎやおにぎりって大きなイメージがあります。私は、グァテマラ風の厚めのトルティーヤが好きでした。
このトルティーヤに、岩塩をつまんで乗っけるだけ、というのが一番シンプルな食事です。寂しいように思えるかもしれませんが、焼きたてのトルティーヤは香ばしくて、塩だけでも十分美味しいです。日本でも、子どものころなんか、母親のにぎりたてのおにぎりが、具がなくてもすごく美味しかったりしませんでしたか?ああいう感じです。
パンも食べますが、それほど頻繁ではないです。コメは、メインのおかずの付け合わせとして食べます。味は、あったりなかったりです。
主なおかずは、フリホーレス。黒や赤のインゲンマメを煮て、塩と油で味付けしたもので、見た目は餡こによく似ています。つぶ餡状のものと、こし餡状のものがあります。私はこし餡状のものが好きですが、ここは好みの分かれるところです。日本人は、甘い餡このイメージを引きずってしまうのか、塩味のフリホーレスに舌がなかなか慣れない人がけっこういます。私もその一人でしたが、しょっちゅう食べているうちに、美味しく感じるようになりました。
私が訪問していた村では、おかずはあってもフリホーレスだけ、ということが多かったです。油分が多いので、これだけでもかなり腹持ちがいいです。
あとはタマーレス。タマーレスは、トウモロコシ粉を原料としたちまきで、バナナの葉っぱで包んで蒸します。中に具として鶏肉の小さい切り身などを入れます。冠婚葬祭など、特別な日のメニューです。
あるとき、村を訪問したら、ちょうど何かのお祝いがあって、タマーレスを振舞ってもらったことがあります。外国人である私はゲスト扱いとなり、特に上等な部分だからということで、ニワトリの頭が具として入っているものを勧められました。
このニワトリの頭、蒸してあるせいか色は真紫で、姿形は生きている状態そのままでした。グァテマラに暮らし始めてまだ間もなかった当時の私は、大いにびびり、どうぞ長老の方に差し上げてください、私は普通のもので十分です、みたいなことを言って他の方に譲りました。
今思うと、ニワトリの頭を丸かじりする機会など滅多にあるものではなく、せっかくのご好意を無碍にせず、ありがたくいただけばよかったです。
お肉は、鶏肉が多いです。煮込みや素焼きもありますが、「ポジョ・フリト」と呼ばれるフライドチキンがとっても美味しく、かつ安い(トルティーヤとセットで100円ぐらい)ので、市場や町の食堂ではたいていポジョ・フリトを食べていました。
牛肉はかなり固く、普通の食堂で出てくるものや、市場で売っているものだと、焼くと固くて噛み切れません。でもグァテマラの皆さんは噛み切れるので、顎が強いなあと感心していました。煮込みにしてもまあまあ固いし、鶏肉と比べるとお高いので、ちょっといいお店で会食するとき以外は、あまり食べる機会はありませんでした。
豚肉もありましたが、グァテマラは全体的に衛生環境がよろしくなく、寄生虫などが怖いので、あまり食べませんでした。
魚は、私の住んでいた地域が山の中で、市場で売っている魚はティラピアぐらいしかなく、それもあまり美味しそうには見えなかったので、ほとんど食べませんでした。
野菜は、味が濃くて安いので、市場で適当に買ってきて煮込みを作っていました。
しまった。果物を忘れていました。
果物はとっても甘くて安く、オレンジは旬の時期で10個10円、メロンが1個30円ぐらい、マンゴーも大1個で20円ぐらいだったと思いますが、安いので値段を気にせず買っていたため、正確には覚えていません。たっぷりの果物とパンで食事はおしまい、ということもありました。ほかにも、スイカ、バナナ、スモモ、パイナップル、パパイヤなど、どれも安くて美味しかったです。
サポテという果物がとくに好きでした。見た目は大きいキウイ、食感と中にでっかい種が入っているところはアボカド、味は干し柿、といった感じで、これも安く、1個食べると十分満足できました。
このコラムを書く際、名前を確認するためにネットで調べたら、なんと沖縄県内にサポテの栽培農家があるではないですか! これは買わずにはいられませんね。
続く