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グァテマラよもやま話

グァテマラよもやま話 その12 チャポの日常


2021.05.19グァテマラよもやま話


話を戻します。

グァテマラで犬を飼っていました。名前はチャポです。

 

チャポは、先輩隊員が飼っていた犬で、彼が帰国する際、彼の借りていた家ごと譲り受けました。白地に茶系の斑がある中型犬で、足が短く、しっぽが太くて短いのが特徴でした。性格はおとなしく、気の弱い奴でした。

チャポのお気に入りのごはんは、先輩隊員から受け継いだ、牛の骨と砕けた米を煮込んだお粥です。基本的に毎日、このお粥を作って食べさせていました。牛の骨は、市場の肉屋で買っていました。「犬用」と注文すると、肉屋のおやじが腿の太い骨を斧で適当な大きさに砕いてくれます。米は、粒の整ったものと、砕けたものが売られていて、煮込みやすいように砕けた米を市場で買っていました。

市場の食堂でポジョフリート(鶏の素揚げ)を食べると、骨が残ります。チャポを連れて行ったときには、この鶏の骨も食べさせていました。現地では、鶏の骨は細かく裂けて胃壁に刺さるので、犬に与えてはいけない、という考えもあったのですが、とくに胃が痛そうな様子はなかったし、本人も喜んで食べていたので、普通にあげていました。トルティーヤもちぎってあげていました。あまり喜んではいませんでしたが、トルティーヤにはカルシウムが多く含まれていると言われていたので、健康のため食べさせていました。

 

グァテマラでは、犬を放し飼いにしていることが割と多く、私も現地の慣習に倣って、日中家にいない時間帯は、チャポを放し飼いにしていました。チャポは、市場周辺をうろうろして、落ちている食べ物を漁ったりしていましたが、他の犬が参戦してくると、すぐにびびって歩み去っていました。そういった様子も含めて、所作に何とも言えない愛嬌があり、街の人たちにけっこう声を掛けられていました。

 

白い犬を放し飼いにしているので、当然ですがすぐに汚れが目立ってきます。また、市場でノミやダニやシラミをもらってくることもままあります。それで、わりと頻繁にシャンプーしていたのですが、チャポは水を浴びるのが大嫌い。シャンプーする際、首輪をつけて鎖で繋ぐのですが、私が鎖を持つのを見ただけで、チャポはブルブル震えだします。かわいそうだなとは思いますが、仕方ありません。なるべくさっさとシャンプーして、水で洗い流してあげますが、その間キュンキュン鳴いたりします。シャンプー後、布でひととおり体を拭いて、日なたにいられるように柱に繋ぎます。日差しが強いので、乾くのは早いですが、冬場は日中でもそれなりに気温が低いので、乾きはいまいちです。しかし、鎖で繋いでおかないと、濡れたままベッドに潜り込んでくるので、あくまでも外で乾燥させます。汚れがそれほどでもないときは、蚤取り粉を振りかけていました。

 

チャポは、家にいるときは、じっとおとなしくしています。私がハンモックに寝ているときは、ハンモックの近くに寝そべっています。夜寝るときは、段ボール箱に毛布を敷いたベッドで眠ります。日中は気温が上がるので、床の冷たいタイルに、喉から腹をべったりつけていることが多かったです。

散歩は好きです。私はチャポを連れて散歩に出かける際、「チャポ、お散歩」と声を掛けていたのですが、チャポはちゃんと理解して、門の扉の前にささっと駆けて行ってスタンバイします。散歩中はリードをつけず、自由にさせますが、そもそも放し飼いが珍しくないグァテマラですから、チャポぐらいの中型犬をリードなしで散歩させていても、文句を言われることはありません。チャポも人に吠えるようなことは一切しないので、子どもから大人まで、かまってくれました。ただ、他の犬が威嚇してくることはあり、そんなときチャポは、知らんぷりしてやり過ごしたり、ガツガツこられると私の陰に隠れたりしていました。

 

散歩コースはとくに決まっていませんでしたが、街はずれの、灌木がぽつぽつと生えている荒野に行くことが多かったです。これは、チャポではなく、私の好みです。人がいなくて静かで、見晴らしも良く、小さい丘が連なっていてちょっとしたトレッキング気分も味わえ、夕方には涼しい風が吹くので、私は気に入っていました。1時間以上かかるコースだし、とくに刺激のあるものはないので、チャポはたまに「疲れたから帰ろうよー」みたいな表情をしていましたが、前半は好き勝手に走り回って楽しんでいましたね。

 

続く

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